【凍える朝】
凍える朝。
吐く息が白く膨らんで、風にさらわれていく。
自転車を押しながら信号を待っていると、「おーい!」と声がして振り返った。
手をポケットに突っ込んだまま、あいつが小走りでやってくる。
「さむっ。指終わったんやけど。」
「手袋したらいいやんか。」
「朝の俺にそんな知能はない。」
くだらない会話で笑いながら、コンビニへと避難する。
温かい空気に包まれて、悴んだ指がじんとする。
肉まんを買って外に出る。
湯気が顔に当たって、思わず目を細めた。
「これ持つだけで生き返るわ。」
「手袋みたいなもんや。」
あいつがかじりつくのを見て、「それ絶対猫舌で死ぬやつやん。」と笑うと、案の定「熱っ!」と飛び跳ねた。
道端の霜が朝日に光っていた。
白い息と笑い声が混ざって、世界が少しだけやわらかく見える。
「このあとなにするん?」
「さぁ。とりあえず、もうちょい歩こうや。」
凍える空気の中で、なぜか足取りは軽かった。
寒さを笑い飛ばせる相手がいるだけで、冬もちょっとはマシになる。
11/1/2025, 9:50:07 PM