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「もう二度とこんなチャンスはやってこないんだぞ」

同窓会の前ということで喫茶店に呼ばれた私は、久しぶりにあった高校の友人Fにそう言われた。

事のあらましを説明すると、そいつの友達の友達の友達が、中東で堀当てた油田を軍資金に起業するということで、現地の法律に詳しいやつが必要らしい。

そこで白羽の矢が建ったのは、ちょうど外務省を辞めることになった僕だったわけだ。

三年契約で1億だすとまで言われた。

コーヒーを飲みながら、私はFの人柄について、思いだす。

県では名の知れた学校の中でもFは高校時代から成績が良く、交友関係は多岐に渡っていた。

卒業した後でも、その交友関係は続いている人も一部いると、別の友達からきいた。

おそらく、私が外務省に勤めており、辞めたことも誰かから聞いたのだろう。

Fの昔の人柄を考えると、嘘を話しているようには考えられないかもしれないが、、、

いや、まてまて、どう考えても胡散臭い話だ。

偶々、油田が掘れて、偶々、外務省を辞めたばかりのところに友人が来るなんて、いくらなんでも早すぎる、、、

結局、話し半分で聞き流し、断ってやった。

今回の件で彼に対する心象はあまりよくないものになった。

もう二度と会うものか

【もう二度と】




 


3/24/2025, 12:48:08 PM