「二人ぼっち」
一人で机に突っ伏している私に、誰かが話しかける。
「ねえ、あなた、ぼっち?」
(何だよ。いきなり失礼な奴だな。)
「…そうだけど。何?君も同じぼっち?」
不機嫌そうに聞くと、笑いながら答えが返ってくる。
「アハハハ!そうだよ!私もぼっちなんだ!ねえ、私たち、二人ぼっちにならない?」
冗談混じりに誘われたが、何だか頷いてしまった。そうすると、すぐに返事が来て、何もわからないうちに、私たちは二人ぼっちになった。
「じゃあ、これから私たちは二人ぼっちって事で!」
名前も知らない君と、私たちは二人ぼっちだ。
でも、実は君の名前はずっと昔から、知っているんだ。
だって、「二人ぼっち」の君は、7年前、私の目の前で事故に遭った、「あかね」なんだから。
「二人ぼっち」になったのは、10年前のあの日、あかねは名も知らない私に、「二人ぼっち」になろうと話しかけてきた。
私はもちろん断ったが、知らないうちに、あかねと話すうちに、私たちは知らず知らずのうちに「二人ぼっち」になっていたのだ。
あかね、君は私にまた、「二人ぼっち」になってほしいの?だったら、私はよろこんで「二人ぼっち」になるよ。「二人ぼっち」は、死んでも尚、離れる事はないから。
オニロ。
3/22/2024, 12:08:12 AM