『逆さま』
刹那。時間が止まったようにゆっくりに感じた。
恐怖で顔が歪む君。暗くなり始める真っ赤な空。
なんだ。案外綺麗なもんじゃないか。
だからといってまだ生きたかったなんて思わないけど。
下から上に吹く風は冷たくて乾いている冬の風。
もう体を冷やさないか心配する必要もないって思うと
気が楽だ。
天と地がひっくり返ったかのような世界は
人生の最後にしか見れない絶景だ。
目をつぶれば素敵な華を咲かせれるだろうか。
最後に君の脳裏に焼き付けれるだろうか。
痛いのは一瞬だけ。
そう願いながら目を瞑るとコンセントが抜けた
テレビのように何かがプツンと切れた。
語り部シルヴァ
12/6/2024, 11:44:20 AM