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 なんとなく近所を散歩していると、俺の足元でパキッと音がした。
 足元を見てみると枯葉を踏みつけたのか、粉々になった落ち葉がある。
 道のすぐ隣は山なので、ここから飛んできたのだろう。

 落ち葉と言えば秋を連想するけれど、意外とそうでもない。
 冬にだって落ちている。
 秋の短い期間にきれいさっぱり分解されるわけじゃないので、当たり前と言えば当たり前。
 冬になる前に誰かが掃除してなくなるから、そう錯覚してしまうのだろう。
 思い込みで気づかなかったことに気づかせてくれるから、散歩は止められない。

 その場を離れようとして、ふとあることを思いつく。
 そして、周囲を見渡して近くにあった枯葉を踏みつける。
 そうして足を退けると、なんと粉々になった枯葉が!

 それを見て俺はニヤリと笑う。
 自分は落ち葉を、それもカラカラになった枯葉を踏みつけて粉々にするのが好きなのだ。
 なんでかと言われても困る。
 しいて言えば楽しいから。
 誰にも話したことは無いので、他の人間で好きな奴がいるかは知らない。
 おや、離れたところにもう一枚。

 その葉っぱに近づいて踏みつけようると、目の間で葉っぱ踏みつけられる。
 驚いて見上げると、クラスメイトの鈴木が立っていた。

「……よう」
「……よう」
 一瞬の沈黙の後、挨拶を交わす。
 気まずい。
 もともとあんまり話さないのだが、今回は特に気まずく何も言葉が思い浮かばない。

「……えっと、散歩かい」
「ああ、お前もか」
「……うん、それじゃあ」
「ああ」
 特に話すこともなく、そのまま別れる。
 助かった、気持ちが溢れる。
 さすがに落ち葉を踏みつける気にはならなかったので、そのまま帰ることにした。

 とはいえあの真面目な鈴木が、枯葉を踏むのが好きだとはな。
 結構意外だな。
 人は分からないとは、よく言ったものだ。
 こんど学校で会ったら話しかけてみよう。
 案外話が合うかもしれない。

 散歩には新しい気づきがある。
 散歩はこれからも止められそうにない。

2/20/2024, 9:58:53 AM