夜の祝福あれ

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放課後、君の席で

高校最後の春、卒業式が終わった午後。誰もいない教室に、ひとり戻ってきた遥(はるか)は、ある“置き手紙”を探していた。
それは、隣の席だった尚人(なおと)が、卒業式の日に「最後に渡したいものがある」と言っていた手紙。だけど、式のあと尚人は姿を消し、連絡も取れなくなっていた。

遥は教室の自分の席に座り、彼との思い出を辿る。雨の日に傘を忘れたこと、文化祭でペアになったこと、何気ない日々の中に芽生えていた恋心。
そして、彼の席の中に見つけた一冊のノート。そこには、尚人の“秘密”と、遥への想いが綴られていた。

最後のページにはこう書かれていた——
「君がこのノートを見つけたら、屋上で待ってる。最後に、ちゃんと伝えたい。」

遥は教室を飛び出す。誰もいないはずの屋上で、春の風がふたりを再会させる。

お題♯誰もいない教室

9/7/2025, 4:41:38 AM