玉響

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『脳裏』
雨の日の公園、ブランコの上。
無情に降る雨粒がとても痛くて下を向く。それなのに視界はぼやけて一粒、また一粒と大きな雫が落ちる。
いつからこうなったのかな?
ついさっきまで、あなたと一緒にブランコを漕いでいたはずなのに。
あなたは漕ぐのがとても速くて、私はそれに着いていけなくて、次第に私たちはすれ違っていった。
そして私は嫌になってブランコを降りてしまった。
でも、今になって分かったの。
二人の速さは違っていても、行ったり来たりする内にいつか一緒に空を仰げるときが来るって。
時間をかければ必ず一緒に笑い合えるって。
それは会えない時間に比べれば僅かなものだけどね。
それだけで良かったはずなのに、あなたが待ってくれないから、って私が勝手にブランコを降りちゃった。
分かってる。公園のブランコは皆のものなんだから、もう一度乗り直すことは出来ない。
でも。
ブランコを二人で漕ぎ始めた頃のあなたの姿は、まだ私の脳裏に焼き付いている。

11/9/2023, 11:30:54 AM