公園の真ん中に、ビー玉が一粒落ちていました。冬晴れの日差しを反射してきらきらと光っています。
追いかけっこをしていた子供のひとりが知らずのうちに蹴り飛ばして、ビー玉は茂みへ転がっていきました。
そのビー玉は不思議なことに、光の差さない場所でもずっときらきら光り続けました。まるで太陽の美しさを忘れられない子供のように。
ところが茂みの中には先客がいました。一羽の真っ黒いカラスでした。冷たい木枯らしで吹き溜まった枯葉を集めて隠れていたのです。
カラスは輝くビー玉をつついて、
「おうおう、人ん家に転がり込んで堂々光るたあ良い度胸じゃねえか」
ビー玉は無邪気にころころ転がりながら、
「僕は明るい方が好きなんだ」
「そうかそうか、俺は大嫌いだ。明るいと自分の姿が見えちゃうじゃないか」
「見えたって良いじゃないか」
「俺は嫌なんだよ。さあ、あっち行った、行った」
カラスがつつくと、ビー玉は彼の周りをくるりと一周転がって、きゃっきゃと笑いました。
「からかうな。さっさと出てけ!」
「どうしようかな、もう少しここにいようかな」
厄介な客に、カラスはやれやれとため息をつくのでした。
1/5/2024, 2:38:42 PM