「キャッ、そんな君に見つめられると照れちゃうなっ♡」
「ぅわあ、気色悪……そういうのじゃないよ」
目の前のバカがふざけたように言う。いつもいつもふざける馬鹿野郎―――本当にそう思うことなんてないくせに、こっちの気も知らず抜かしやがって。
「えーそういうのってどんなの~?教えてよぉ」
「はっ、自分で考えれば?」
「教えてくれてもいーじゃん、けちめ」
「ケチでいい」
ぶーぶー、と拗ねるように言う。大体今勉強中だし、面倒な奴に今構ってる暇なんてない。勉強したら?と聞けば、さらにぶーぶーとこっちを批判してきた。いや批判したいのこっちだっつの。
ぶーぶーぶーぶー、大分うるさいが慣れれば案外いけるもので、時間が経てばむしろただのBGMだと思えてきた。そのまましばらく時間が経って……いつの間にかその声はやみ、じぃっとこっちを見る鬱陶しい視線を後ろから感じる。
「はぁ……。な、に……!?!?!?」
「あ、びっくりした?したよねえ、こんなに顔近いんだもん♪」
にこ、と笑うバカ。後ろを振り向けば、こいつがめちゃくちゃ近くにいたのである。正直ぶつかってもおかしくないくらいには、近い。思わずのけぞると、にやにやとした顔面が近づいてくる。ふざけた声色に対して、案外目は真面目だった。じとっとまるでなにかを観察するように目をじっくり見られる。
「―――あーもうばかっ、そんなに見つめないで!!!!」
「え~どうしよっかな~♡」
そんなに君に見つめられると、勘違いしてしまいそうになる。そして、思わずドキッとする。優しくてまるで大切なものを見る目で、その奥には熱がこもってるように見えて。君に見つめられると、本当にそう思ってくれたんじゃないかって、思えてしまう。そんなこと、あるわけないのに。
「んふふ」
優しく笑ってこっちを見つめる君を、ずっと忘れられないだろう。
4/6/2026, 12:23:00 PM