「物憂げな空」
銀色の午後。
窓の外は、境界線が溶け出したような物憂げな空。
雨が降る直前の、あの重くて静かな灰色が部屋に満ちている。
テーブルには、少し冷めたカフェオレ。
カップの縁にわずかに残った泡の跡を、スプーンの先で静かになぞりながら、
押し入れの奥で見つけた古いアルバムをめくる。
セピア色の写真の中の私は、今よりもずっと、
「永遠」という言葉を簡単に信じていたみたいだ。
足元では、愛犬のクロが深く息をついて丸まっている。
その規則正しい寝息だけが、この止まった時間の中の唯一の時計だ。
「ねえ、クロ。私たちはどこへ行くんだろうね」
答えのない問いを飲み干して、私はまた、
銀色の空の向こう側を眺めている。
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「もう一日の断片」
雨上がりの午後のひかり。
昨日の雨が嘘のように、雲の間から薄いひかりが差し込んでいる。
物憂げな空は、洗い立てのシーツみたいに少しだけ軽くなった。
テーブルの上には、今日もカフェオレ。
スプーンでゆっくりとかき混ぜると、ミルクの色が渦を巻いて、
私のとりとめのない思考と一緒に溶けていく。
古いアルバムはまだ、開いたままそこにある。
愛犬のクロが、そのページの上にわざとらしく顎を乗せて、
「もういい加減にして」とでも言うように私を見上げた。
「わかったよ、クロ。もうすぐ散歩に行こう」
過去の私と今の私が、ふっと重なるような感覚。
新しく淹れ直した温かい一杯を飲み干して、
私は重い腰を上げた。
••┈┈ ˖ ࣪⊹ᴛʜᴀɴᴋ ʏᴏᴜ𖥔. ִֶָ𓂅 ┈┈••
2/25/2026, 4:57:25 PM