ミヤ

Open App

"あの夢のつづきを"

毎年、初夢を貴女と語り合うのが恒例だった。
僕が見る夢は大抵碌でもなくて、自分が死ぬ夢ばかり。窒息、溺死、心臓発作、胸部損傷による心タンポナーデ。果ては劇場版みたいな壮大なスケール感の爆破劇や手の込んだ密室劇に巻き込まれてみたり。
推理小説や医療ミステリばかりを薦める貴女の影響か、やけにリアルな設定で編まれる夢に、何度冷や汗と共に飛び起きたものか。
貴女は羨ましがって何回も話をねだるけど、正直夢にはもううんざりしていた。

でも、最近は貴女の夢を見るんだ。
こうやって話をしている今が夢で、目を覚ましたら貴女が何処にもいないんだ。
僕がそう言うと、貴女は口元を緩ませる。
不機嫌にそっぽを向く僕に、貴女は、わたしがいないと君は死んじゃうんだねぇ、とにんまり笑った。

目覚まし時計のアラームを止め、もう一度布団に潜り込む。あと5分だけでもいい、あの夢のつづきに浸らせてほしい。貴女に会うために、この一年間現実を生きてきたのだから。

1/12/2025, 1:04:09 PM