空模様
雨が降りそうな空を見て、地上の人は、今日は傘を持って行こう、と思う。
空はとっても遠く、手の届かないところにある。
地上の人は、ただ、空のご機嫌を窺うことしかできない。
地上の人は、空に手の届かないことを知り、空模様をただ見守る。
地上の人は、手の届かないと認めたものは眺めて過ごす。
それを変えてやろうなどとは思いもよらない。
手の届かないもの、手の届くもの。
空はとっても遠いから、手が届かないとわかるけれど、そんなに遠くないものは、地上の人はどうやってそれを見分けるだろうか。
海は遠いだろうか。
街は遠いだろうか。
人は遠いだろうか。
それとも思いもよらず近いだろうか。
手の届くはずのものを、まるで遠く空模様を眺めるように見たり、遠く手の届かないものを、地上の人は近いと信じて、無理に手を伸ばしたりしないだろうか。
手の届かないもの、手の届くもの。
それを見分ける知恵が欲しい。
8/19/2022, 10:30:36 AM