【誰よりも、ずっと】
「ああもう!」
大声を出すと、隣の部屋に迷惑だから出せないけれども、気分としたら叫びたかった。帰宅後早々に、ジャケットと鞄をクッションに叩きつけ、座り込む。膝を抱えて座ると、段々目元に水分が増えてくる。
自信はあった。
昔から憧れていた仕事のコンテスト。人一倍、誰よりもずっとずっと、勉強して自分なりに応用して、個性もそこそこ出して。
選ばれたのは他の人で。
(私よりも、他にも同じようなのあるし個性もないあっちが選ばれるの?何で?)
(自分がやってきた努力の時間は無駄だったの?)
(ただ単に、才能がないだけ?)
頭の中、ぐるぐるしてくる。涙が止まらない。
(よし)
どれだけ泣いたか分からない。でも、座っていたら尻が痛い。だから。
「一人カラオケでも行くか」
そして、隣の部屋を気にせず叫んでくるのだ。
そして、もう一度頑張ってみるのだ。
誰よりも、ずっと。
4/10/2024, 1:17:25 AM