秘密の手紙
「ん?」
リビングで本を読んでいると、何かの音が聞こえる。
「何だろう?」
音がする部屋に行ってみると、キミが引き出しをガチャガチャ動かしていた。
「どうかしたの?」
声をかけると
「この引き出し、開かなくて。何かつっかえてるのかな」
キミは困った顔をする。
「あー…そうなんだ。俺が見てみるよ。引き出しの中に、何かあるの?」
「今年届いた年賀状。それを見て、年賀状を書こうと思ったの」
「そっか。そろそろ書かないとだよね」
じゃあ、お願いね。そう言って、キミが部屋を出るのを見届けると、俺は、別の引き出しに隠してある鍵を取り出した。
「鍵かけといて良かった」
鍵穴が、正面ではなく、側面にある珍しいデスク。開けようとした引き出しの中には、クリスマス用のプレゼントが入っていた。
「別の場所に移すか」
プレゼントを取り出すと、キミに書いた手紙がひらりと落ちる。
「おっと」
落ちた手紙を拾うと、プレゼントと一緒にしまう。
普段言わないキミへの想い。俺の想いが詰まった秘密の手紙。その手紙をキミが読むのを、今から楽しみにしているのだった。
12/5/2025, 9:25:36 AM