あなたとわたし
今何をしていますか?
これを読む頃、きっとあなたは大人になっていると思います。
もしかしたらこんなものを書いていたことすら覚えていないのかも。
でも今これを読んでいるあなたに伝えたいんです。
今のわたしはとても楽しく部活動をしています。
毎日練習に明け暮れて、めっちゃ青春って感じです。
大会は惜しくも全国は逃しましたが、また来年に向けて頑張っています。
話は変わりますが、クラスの座席の隣には仲のいい友達がいます。
誰でしょう?
小学校の頃からの友達で、毎日家に入り浸っていた子です。
家も近くてちょっとドジっ子な感じ。もうわかりましたよね。
今もその子と連絡はとっていますか?
お仕事はなんですか?
わたし友達は多いけどみんなにいい顔してるからあなたが数年後かに痛い目みるかも。ごめんねー!
回り道だとしても、自分のやりたいことをやるべきだと思います。
誰に反対されたとしても、わたしだけは味方です!笑
人生まだまだ楽しんでくださいね!!応援してるよ!
部屋の物置から出てきた手紙は今のわたしへの当てつけかのようにポジティブな言葉の羅列だった。
現在、わたしはあの頃の期待を裏切って、毎日をぼんやりと生きている。人間関係に疲れて家と職場の往復しかしないような人間になってしまった。
わたしの言う通り、たぶん現在進行形で痛い目をみているのだろう。自業自得だ。
手紙を読んで、近所のあの子は今何をしているのか気になった。
小学1年生の時に同じ通学路だったこともあり、一緒に帰るようになって、毎日のように家で遊んだ。
彼女は誰とでも話すタイプだったが、好き嫌いははっきりしているところが付き合いやすくて楽しかったのを覚えている。
疎遠になってしまったかつての友達を数えたらキリがないだろうが、惜しいことをしたと思った。
もう何年も連絡をとっていない。
正直この手紙がなければ、話題が見つからないほど疎遠になってしまっていた。10代の自分に見透かされたのがなんだか悔しくて、思い切って行動に出ることにした。
気のいい奴だったからきっと突然の連絡にも快く返事してくれるだろう。数十年前のわたしを見返すべく、淡い期待を込めてチャットアプリを開く。
『久しぶり!この間こんな手紙を見つけてさ…わたし覚えてる?』
11/7/2024, 2:44:59 PM