ソラシド

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顔を上げたら、夏がすぐそこにあった。
鮮やかな青空に、輪郭のはっきりした雲が映えている。綿あめみたいな絹雲でも、泡のようにふわふわした雲でもなくて、触ったら固さを感じるような弾力のある雲。暑苦しいほど力強いそれこそが夏の風景に相応しいと思った。

宙を走る電線、風になびく洗濯物。ぼんやりと歩く私の先を、子供たちが駆けてゆく。

巡る月日のなかで、浮かんでは消えていく雲たちにも、同じものなどきっと無いんだろう。たくさんあるのに、どれも違う。同じものが無いことがあたりまえでみたいに、雲は形を変えて流れていく。まるで、変わることに恐れることはないように。

自然にあるものに、どれ一つも同じものが存在しなくて良かった。

比べることにすら意味がない。
ただ、そこにあることを感じられる自然の摂理が癒しになる福音だから。

8/9/2024, 5:54:22 AM