秋茜

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Friends

 「友人」って、なんだろう。
この地球に来てから、わりとよく聞く言葉の一つだ。
観察してみると、単に「物理的に近くによく座る他人の事」とかではないらしい。
「近しい話題を持ち合わせている」とか、「趣味が合う他人」でもないらしい。
……ややこしい言葉。
なんとなく、この言葉の意味に興味を持って、やっきにあっちにこっちにと足を運んでいる内に人間の知り合いが増えて、惑星探査用に支給されたスマホの連絡先が一杯になってしまった。
SNSとかいうアプリも通知がやかましくて叶わない。
結局、惑星探査の最終日になっても、やはり「友達」という言葉の意味はよく分からなかった。
しかし、人間という変わった生き物とのコミュニケーションは、楽しくもあったのは確かだと心から感じていた。

 帰り道。宇宙船から、離れていく地球を眺めながら、お土産のコーヒーを口にする。……にがい。
思わず舌を出してしまう。砂糖をざらざらと入れて、今度こそ美味しいコーヒーを味わう。あまい。思わず、顔がほころぶ。
……次に惑星探査の仕事があったら、またこの星にしてみようかな。
今まで出会った人間たちの顔が浮かんで、なぜか胸がきゅっとなった。
次に来れた時には、また会えるかな。
美味しいものも、まだ残っているかな。
次こそ「友人」って言葉の意味も理解出来るといいな。
そんなことを考えながら、私はそっと目を閉じて、地球での思い出を振り返りながらスリープ装置の電源を入れて眠りに付いた。

10/20/2025, 3:29:51 PM