硝子月

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小さな命

 授業中、目の前をきらきらとした鱗粉が舞う。私はそれを、ほこりかのように払いのける。
 一週間前、突然現れたそれは私以外の人には見えないらしい。黒髪に黒い目の女子高生に、蝶のような羽をつけて十センチくらいに縮めたようなそれは、何を話すわけでもなく、ただ私のまわりを飛び回っている。
 もちろん最初は驚き、現れたわけを問い詰めたが、困ったような顔をするだけだった。一週間もすれば私は、それをただの虫のように思い始めた。
 今週末、私の手術が決まった。ただ体の中にできた小さな異物を取り除くだけの簡単なものだ。
 手術はあっけなく終わった。
 そこから私は、あれの姿を見ることはなかった。

2/25/2026, 5:52:44 AM