『無色の世界』
色のない世界とは、どういう世界だろうか。
白黒の世界? それとも、見えない世界?
違う。
無色の世界とは、この世で一番美しい“水晶の世界”だ。
○○○
透明なクリスタルが太陽の光を受けて、煌めく。
そこに色鮮やかさはない。
ただ、ただ、美しい。
「アレ、また君は針水晶原っぱを眺めているの? 好きだねぇ」
振り返った先には、美しい人が居た。
透明なクリスタルの人形。水晶人。
「だって、こんなに綺麗なんですよ。見ないと勿体無いじゃないですか」
「うーん。普通の原っぱだと思うんだけど、やっぱり異世界人は変わってるねぇ」
異世界人。
そう、異世界から来た人、という意味だ。
数日前、僕はこの世界にいきなりやってきた。
仕事の帰りにマンホールに落ちたと思ったら、急にこの世界に居たのだ。
だが、元の世界に未練はない。
——ここは、本当に美しい世界だからだ。
終わり
4/19/2026, 4:39:03 AM