#言葉にできない
―――
男が、一人
床に膝を着き、顔を伏せている
その身体は震え
微かに、聞こえない程に、声が漏れている
「嗚呼、可哀想に」
誰かが、そう呟いた
「どうして、どうして」
その後に、半音高い声
中央に置かれた額縁と花束は
明るい表情をしているというのに
何とも言えない空気感が
男を中心に流れていた
...その当人は、未だ変わらぬまま
額縁を抱える両腕に、力が籠ったのが
誰の目から見ても、分かった
そう、その男は―――
数ヶ月前、彼女を奪われていた
...ははつ
4/11/2026, 11:33:23 AM