君が見た夢(オリジナル)
「昨日、すっごい怖い夢見ちゃった!」
ベッドの壁側に寝ていた彼女が、起きた途端にガバリと身を起こしたので、そもそもキワに追いやられていた僕は、あやうく落ちるところだった。
はみ出した片足で踏みとどまる。
「いきなりどうしたの?」
「それがさ!聞いてよ!ろっくん(僕の事)がね、そこの姿見の鏡の前に立ってるんだけど、その手に生首持ってるの!」
出がけに身だしなみを確認するのと、性癖を満足させるため、全身映るサイズの鏡がベッドの横に置いてある。その事を言っているようだった。
「生首?誰の?」
「それはわかんない。むしろ知り合いだったら怖いよ!髪はセミロングかな。その髪を雑に持っててね、めっちゃホラーだった!」
「へぇ。最近なんかホラー映画とか見た?それか、誰かを憎んでるとか?」
「そんな事ないよ!でも確かに、何の夢だろね?心配事でもあったのかなぁ。あ、あと、ろっくん、こっち見て目が合ったんだけど、殺人鬼みたいだった〜」
「ふぅん。それで、その後はどうなったの?」
「その後?」
「目が合った後」
彼女は思い出そうと中空を見上げていたが、ぺろっと舌を出すと、
「忘れちゃった!」
と、可愛く言った。
「そ?」
「うん」
僕はようやくベッドから身を起こし、
「コーヒー入れるね」
と、キッチンへ向かった。
君が見た夢。
それは、昨夜、現実にあった事だよ。
夜中に一時的に覚醒した彼女の目に映った現実であったが、すぐに寝たか気絶したかしたせいだろうか、夢の中の出来事にされてしまったようだ。
生首を鏡の裏の隠し戸棚に入れるところまでは見られなかったようである。
僕は、にっこりほくそ笑んだ。
12/16/2025, 11:52:58 AM