「踊りませんか?」
僕の大好きなバラの庭園は、今夜兄さんの誕生日の祝いの場所になっている。普段なら誰も入ってこない、1人になれる場所なのに…と落ち込んでいるとき、誰かが僕に話しかけてきた。
「あの…顔色が悪いようですが大丈夫ですか?第二皇太子殿下」
最初は誰が、こんな駄目な第二皇太子に話しかけてきたんだと、狂ってるんじゃないかと思った。だが、それは彼女を見るまでだった。彼女はとても綺麗で、可愛らしかった。そう…言葉を失うくらいには…。地獄の枯れ果てた土地に一輪の花が咲いたようだった。誰にも会いたくないのに兄さんに「誕生日だから来てくれると嬉しいな」と言われて嫌々来たのだが、彼女に出会えた喜びでそんな嫌々しさなんて一瞬で吹っ飛んでいった。
♪~♬♪~♪♪♬~
そんな時音楽が流れ始めた…。これはチャンスでは…と思った。僕はふっと笑うと
「はい。大丈夫です、綺麗なご令嬢。どうかこんな私ですが、楽しいひとときをご令嬢にプレゼントとしたいのですが、ダンスのお誘いを引き受けてくれますか?」
跪いて微笑む俺を彼女は手を口元に持って行って、ビックリした後にその綺麗な顔で満面の笑みを作り、「はい!よろこんで、リードお願いいたします、第二皇太子殿下(*⌒▽⌒*)」
彼女と俺の物語はまだ始まったばかりだ…。
10/5/2023, 9:32:58 AM