#花畑
ザッザッザッ。
今日、休日な俺は花畑にやってきた。
ここの花畑はとても綺麗とやらで有名だ。
特にこの花畑で人気なのは、この花を何本か摘み、
持ち帰る事が出来る場所があるのだ。
俺は見る事も目的だが、
1番の目的は先日亡くなった彼女に対する花束のプレゼントだ。
彼女はとても花好きで、休日よく一緒に花屋さんや花畑に行っていた。
そんな花好きの彼女にこの綺麗なお花を摘んでそなえれば、喜んでくれるに違いない。
俺はそう思い、その場所へと向かう。
"あれ、今日は人がやけに少ないな。"
俺はここには1回彼女と来たことがある。
その時は、人が沢山居た。
それに、彼女の好きなお花がもう終了していた。
そして今日またこの場所へと来た。
俺は、彼女のためにお花を摘む。
今摘んでいるお花は、ピンクのロベリアの花。
俺は必死に、花を摘み取る。
すると___。
ちょんちょん。
俺の肩にそっと誰かが触れた。
俺はゆっくりと振り返る。そこには、、
先日亡くなった彼女が俺に笑いかけながら立っていた。
"え……?"
俺は思わず思考が停止してしまう。
……もし、これが夢なら……。
神様が最後に彼女に会うチャンスをくれたのかもしれない。
俺は、先程摘んだ花をどんどん繋げていく。
そして、近くにあった、アイビーも摘み、繋げていく。
"よし、冠が出来た。"
それを俺は彼女の頭へそっとのせる。
すると彼女は飛びっきりの笑顔を俺に向けた後、
"あ" "り" "が" "と" "う"
と口をパクパクとさせていることが分かった。
その後彼女は、少し遠くにある赤い薔薇を3本摘み、
俺の手にそっと渡した。
彼女はニッと笑った。
その彼女の笑顔はとても切なかった。
その瞬間辺りがとても眩しくなり、視界が見えなくなった。
数秒後、視界が段々花畑へと戻っていく。
"あれ……??"
先程目の前にいた彼女の姿はどこにもなかった。
夢かと思うと、俺の手の平に3本の赤い薔薇がある。
あれは夢ではなかった、現実だったんだ。
俺はその瞬間、現実へと戻る。
先程明るかった心が一気に黒くなる。
だがめそめそしてはならぬ。
俺は気持ちを切り替え、胡蝶蘭をそっと何本か摘み、
今までにない程の笑顔で、
その場を後にしたのだ─────。
9/17/2023, 1:44:15 PM