「好きだよ。」
「…そういうことは本当に好きな人に言ってあげな?」
あなたは困ったように笑いながら、
そう言って俺の告白を受け流す。
からかっているのだと思っているのだろう。
スリルを味わいたい、
なんて悪趣味なことはしない性格なのに。
俺は狡いからそんなあなたの言葉を利用して
「本番に向けての練習だし。」
と、うやむやにして流れを断ち切った。
あなたにはあの人がいることは百も承知。
俺があの人に敵わないことなんか百も承知。
…でも、伝えることくらい許してよ。
一世一代の本番だったのに。
231112 スリル
11/12/2023, 11:41:40 AM