[明日世界が終わるなら]
何をするの?
日が沈み出した放課後。
私の言葉を聞いた彼女は特に表情を大きく変えることも無く口を開いた。
「どしたのそんなこと聞くなんて、珍しいじゃん」
「なんとなく思っただけ。で?実際どうなの?」
問い詰めれば、少し悩んだ後に本を閉じる彼女。
「なんも変わんないよ。いつも通りこうしてアンタと喋って終わり」
「……そっか」
へらりと笑った顔が眩しくて思わず目を伏せた視線の先に、スマホに表示されたカウントダウンの数字が飛び込む。
「あと2時間だって」
呑気な声で彼女が言う。
「……ほんとに帰らなくていいの?優しいご両親がきっと心配してるよ」
「別にいーの、あの人たちは良い人だけど、私のことにそんな興味無いから。アンタこそいいの?」
「私もいいよ、元々帰る場所なんてないし」
そう言うと、彼女は「確かに」と小さく笑った。
「じゃあコンビニ行こうよ、お菓子食べたい」
「え、私お金持ってきてないや……」
「真面目だね〜、流石優等生!もうお金とか必要ないし、勝手に持ってって大丈夫でしょ」
彼女に手を引かれて走り出す。
暗くなりだした空に、赤い星が降っていた。
5/6/2024, 11:39:33 AM