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「無意味だな」

ぴたりと手が止まる。日誌を書いていた顔を上げて担任の顔を見た。お前がそれを言うのかと、私は女子高生らしくつんと唇を立てた。

「意味がないと思うならせんせーが書いてくださいよ」
「ばか、意味がないから生徒が書くんだろ」
「先生様は忙しいから?」
「そー」

だからとっとと書けと急かすのを、私はわざとゆっくりと書いていた。ごめんね先生、先生は無意味だと思ってるこの時間、私はとても大事なの。

「野球部、今年は勝てるかね」

頬杖をついてグラウンドを見る先生の横顔を盗み見て、国語の横に丁寧に名前を書いた。他の先生とはちょっとだけ違う書き方、多分、私にしかわからない。

「勝てるといーですね」

11/8/2023, 11:22:35 AM