佐々木は、長蛇の列に絶望した。
花見日和、休日の親睦会。
気になるあの子が隣に座る。
弾む会話。白いフリルが可愛く揺れて、佐々木は有頂天になった。
いつもより早く流し込んだビールと、取り分けてくれた惣菜の揚げ物が、佐々木の腹を容赦なく攻撃した。
「ちょっと、トイレ行ってきます」
「あ、はーい。待ってます」
佐々木は、ニヤつく口元を隠して、いそいでトイレに向かった。
「‥なんで、今日に限って‥」
設置された簡易トイレは、どうみても数が足りない。今か今かと、ヤキモキする気持ちを押さえて深呼吸する。
腹の痛さより、あの子の隣が取られないかが心配だ。
佐々木の順番がきた。懐かしい和式トイレで用を足し、トイレットペーパーに手を伸ばす。
カラン、カラン。
音だけが虚しく響いた。
(ああ、誰か嘘だと言ってくれ)
佐々木は天を仰いだ。とっさにひらめいてポケットからサイフを取り出した。
「今日の俺はツイてる!」
佐々木を救ったのは、スーパーのレシートだった。
その日の深夜、LINEの着信音が鳴なった。
佐々木は、ベットでうつ伏せに寝ながら、暗い部屋でスマホ画面をみてニヤニヤしている。
白クマの可愛らしいスタンプに、おやすみなさい(ハート)の吹き出しがついている。
興奮して足をバタバタさせるたびに、肛門に激痛が走った。
が、身体が勝手に動くので、いたしかたない。
3/18/2026, 3:59:50 PM