私は普段モニターの前ばかりにいるからこそ、外の刺激を受ける時間を作っている。
今日は養父に海が見たいと言って、連れてきてもらった。
スニーカーを脱ぎ、裸足で砂浜を歩いてみる。
砂は、足の裏につくことがなくさらっと落ちていく。
波打ち際へ近づくと、濡れた砂はびったりと足に張りついた。
砂を取り除いては、海に放り込んでリリースする。
一瞬だけ足に押し寄せた波が高くて、ジーンズの裾が濡れた。
裾を捲らなければならない。
しぶしぶ膝頭の下まで捲る。そうしたからには、ひざいっぱいに海を堪能するのが定石。
静かに透明な水面から、足元が海色で見えなくなるところまで来た。
「水温はいかがですか」と問われる。
予想より温いですが外気にさらされるよりはマシですね、と返した。
透明な部分を指ですくって、ぺろりと舐めた。
「……塩辛い」
何かの間違いで甘ければ良かったのに。
この海が塩辛い理由。
砂糖が入っていない理由。
それは海の塩がすべて砂糖になってしまえば、私は人魚として生きていくことを選んでしまうだろうから。
そんな戯言はさておき、塩と水の塊と戯れるのも悪くはなかった。
また来ようと思う。
8/23/2024, 1:17:18 PM