そんじゅ

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モンシロチョウの羽根を背中につけている妖精は、秋になったらピタリと姿を見せなくなってしまう。どうしてなんだだろう。まさか彼らは本物の蝶々と同じくらいに寿命が短いのだろうか。それとも寒くなる前に渡り鳥の背中に乗って南の国へ旅に出てしまうのだろうか。

妖精たちは目が合うといつも草陰に隠れてしまうから、問いかけることもできないまま僕は学校帰りに毎日公園のベンチに座り、ひらひらと飛ぶ羽根の軌跡を目で追いかけていた。

そして僕が大人になるよりも先に、宅地造成のために公園が潰されてしまい、そのまま妖精たちはぱったりと居なくなってしまった。

こんな形で会えなくなってしまうのなら、怖がられても驚かれても、話し掛けてみれば良かったと思ったりした。でも、嫌われたくはなかったから。


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モンシロチョウ

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所感:
モンシロチョウ、場所によっては秋にもいたと思うので妖精達は寿命ではなくやっぱり南の国へ行ったのではなかったかと。

5/11/2023, 10:01:28 AM