彩士

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「いつか、またな」


あーあ、まただ。
また置いていかれちゃった。
いつもあんたは私を置いていく。
ふらっと私の元に帰ってきたと思えば、すぐに。
一切私を振り向きもせずに。
大きな背中と日に焼けた手の甲だけを見せてあんたは。

バタンッて玄関のドアが勢いよく閉まった。
私はあんたの連絡先を知らない。
私からは何もできない。
部屋からは他の男に媚びるための甘い香水の臭い。
吐き気がする。
なんであんたじゃないやつなんかと。
私も連れてってよ。
いつもどこ行ってんの。
なんで帰ってくんの。来ないでよ。
絶望させてよ。
私を消してよ。
あんたなんか居なくても生きてられるよ。

そう思いたいのに。
酒に溺れて知らない男と過ごして
気持ち悪くて寝込んでたら、あんたは来るんだよ。
「また遊んでたの?」
ニヤニヤした顔しやがって。
何が面白いんだ。あんたは私で遊んでくれないのに。
最悪だ。
でもほんのちょっぴり嬉しい。
絶対に悟られないようにしないと。
あー、私って可愛くない。だから置いてかれるんだ。

7/22/2025, 2:00:32 PM