お題『意味がないこと』
船星「ごめん、お菓子とか何もない家で」
そう言いながら僕は客間の掘り炬燵に座る大神とその友達に陶器で作られた湯呑みに麦茶を注ぎ入れ配膳していた。
何故大神達が僕の家に来ているのかというと、前回ナンパ作戦を考えている時大神と二人で教室に残っていたら、担任と牛海(体育教師)に邪魔されたからである。その帰り道大神と一緒に帰る際学校から僕の家が近いというを知られてしまった訳で現在に至る。
ようやく1学期期末テストが終わって一息つけると思っていたのだが……。
大神「気にすんなや。急に来た俺らが悪いんやし」
生徒A「そうそう」
生徒B「食べたくなったら後で漢気(おとこぎ)じゃんけんして買いに行ったら良いんじゃん!近くにコンビニやスーパーあるし」
船星「漢気じゃんけん?」
生徒A「知らねぇの?」
船星「う、うん。」
生徒B「普通のじゃんけんだよ。ただし負けた奴が全員の好きなモノを奢るんだよ。俺の親父が家族全員巻き込んでよくやるんだよ」
船星「そうなんだ。仲がいい家族だね」
生徒B「全然そうじゃねぇよ。半ば無理矢理だぜ、ひでぇだろ」
僕は返答に困り笑うしかなかった。両親が仕事で忙しくほとんど家にいないから家族団欒というのを僕は知らない。だから生徒B(丸太)君の家族を僕は羨ましいと思った。
大神「そろそろ本題に入ってもえぇか?」
船星「う、うん。あ、あのさそもそも『ナンパ』ってする意味あるのかな?僕には……意味がないことのような気がするんだけど……」
僕はこの機会に大神の誤解を解こうと思った。
すると大神は僕を睨みつけている。
僕は心の中で−−−−
『こ、怖い、何かまずいこと言ったかな。言たかも』
大神「どういうこっちゃ船星。お前、好きな女おるからあそこでずっと見てたんとちゃうんか?」
船星「えぇ〜〜!?ち、違うよ……多分」
生徒A「おやおや。話が荒れてきそうですわよ。奥様」
生徒B「そうですわね。奥様私達は退散した方がよろしいかしら」
生徒A、Bはコソコソと内緒話を始め、船星の家を出ようと掘り炬燵から立ち上がったが大神に呼び止められてしまったのだった。
End
11/9/2024, 7:53:18 AM