傘を忘れた放課後に
教室の隅で雨宿り
ノートの隅に描いた落書きを
魔法の消しゴムでこっそり消した
使い切ったら 想いが届く と
君の名を綴じ込めた 真新しい消しゴム
早く使い切りたくて
何度も何度も
描いては消す
傘の下に並ぶ
あたしときみの名前
【相合傘】
大きめの傘に二人で入るとき
背の低い私に傘を持たせてくれるわけもなく。
片手に荷物、片手に傘を持つから
あなたの両手が塞がる。
私の手は寂しがって
家に着く前に我慢できなくなって。
その手が傘の柄をぐいっと引けば
30cm上にあったあなたの顔が
傘と一緒に私の目線まで下がってくる。
驚いて見開いたあなたの瞳と
近づいて閉じた私の目。
大丈夫。
ちゃんと隠せてる。
重なったくちびるは、傘に。
このドキドキは、雨音に。
6/19/2024, 12:16:11 PM