題 ここにある
ここにある、確かに
それは見えないけど私の心の中に。
どうして分かるのかって?
だって、感じるから。あなたを見ると感じるトキメキがあるからだよ。
誰にも否定できない。
それでも私にしか見えない。
そんな私だけのトキメキを心の中に感じてしまうからなんだ。
「ん?」
あなたは私をみて疑問形の問いかけをする。
「ううん」
私はなんでもない風を装って首を左右に振る。
あなたと教室の放課後。
テスト勉強の約束をしていたから、教室に向かい合って勉強してた。
あなたが、
「そっか」
と言って、またノートに視線を落とすのをボーッと見つめる私。
何も出来ない。
何も言えない。
ただこうして友達としての距離を保っていることしか。
あなたの姿を見られるだけで、声を聞けるだけで充分ラッキーだと思えるのに、それ以上を求めてしまう気持ちは何なんだろう。
今のままでもわたしは幸せなんだよ。
あなたと2人で勉強出来るなんて。神様からご褒美を貰えた気持ちにすらなるもの。
「またぼーっとしてる」
私へと視線を上げて、あなたは少しとがめるような口調で言う。
「えっ、ごめん、難しい問題だったから考え込んじゃった」
私はとっさにそんなことを言う。
⋯⋯でもそれも本当だ。
勉強の問題集はさっきから全然進んでない。
解き方も難しすぎて分からないでいる。
「どこ?見せて」
あなたが身を乗り出してくる。
ドキッ
フワッとシトラスの香りが鼻をくすぐって⋯⋯。
私は反射的に顔を下げた。
「あ、こことこことここと⋯」
「全部じゃない?ほぼ⋯」
あなたの呆れたような声。
だって⋯。
「分からなかったんだもん。数学苦手だし」
⋯⋯あと、あなたに見とれてたんだけど、それは内緒。
「じゃあ教えるから、聞いててね」
そうあなたは言うと、問題の解説を丁寧にしてくれる。
そんなことも好きなんだ。
自分のことだけじゃなくて、私の事もいつも気にかけてくれる。
あなたへの気持ち。
見えない気持ち。
でもね。
虹色みたいな、パールみたいな、オーロラみたいな、それでいて透明みたいな、自然の大気のように澄み渡っているみたいな。
⋯海の中みたいな。たゆたうみたいな。
見えないもの。
そう、全部見えないけどキラキラしてて。
希望に満ちていて。
どこか少しだけほの暗い。
そんな気持ちなんだ。
確かにここにあるよ。
確かにここにあると確信しているから。
だから私は今日もあなたを想う。
あなたへの想いはいつまでも続いていくと確信させられてしまうんだ。
8/27/2025, 11:42:26 AM