【66,お題:奇跡をもう一度】
ああ、神様。私のこの不躾な行為をどうかお許しください
街から離れた場所に、ひっそりと佇む教会に小さな少年の姿があった
まだ10にもならないような子供だ、廃れ朽ちて廃墟と化した教会で床にへたりこみ
必死に両手を握り締め、祈りの言葉を呟いている
力を込めすぎて白くなった指先が、すがるように震えていた
「貴方に二度も頼ろうとするなんて、図々しいことこの上ない
恥じるべき行為なのは百も承知です、...ですがッ」
どうしても会いたい人が居るんです
「彼女は、私のせいで死にました。本来彼女は生きるべき人間でした
彼女の夢も未来も全て、私が奪ってしまった...」
竦み上がる喉から、やっとの思いで紡ぎだされる言葉は震えていた
お願いです、と涙ながらに懇願する少年の顔は、言葉遣いからは感じられない年相応のか弱さが見えた
「私は...ッもうどうなっても構いません、どんな罰も受けるつもりです
なのでどうか...どうか...ッ」
私のこの我儘を、どうか聞き届けてください
10/2/2023, 10:34:40 AM