いつも木は私に優しかった。
成長すれば公園は小さくなった。あんなに楽しかった遊具は陳腐な置物になった。
でも木だけ、ずっと大きかった。
立派な背丈で、私を覆い隠す。
木陰は、ちょっとした我儘で。
陽の光には当たりたいけれど、眩しいのは嫌な時とか。世界の優しさだけを切り取って届けてくれた。
世界は綺麗で美しいことくらい知っている。でも、それは時に私にとって眩しすぎるから。
子鳥のさえずり。頬を撫でるそよ風。揺れる木陰。
もう少ししたら、戻るからね。大丈夫。
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「揺れる木陰」
7/17/2025, 2:42:26 PM