時を告げる
小学校の頃の通学路を久しぶりに歩いてみる。
所々、景色が変わっていた。新しい家が建っていたり、古くなり誰も住まなくなった家があったり、解体中だったり。
まだ暑さが残っているが、陰になる場所へ行くと涼しい風が吹く。ゆるい坂道を登り、更地になった場所が。
何があったか、思い出せない。たぶん、大きな家だったと思う。時が経てば、変わらないものが、変わるものもある。少し寂しさを感じた。
ふと、たくさん遊んだ公園の前で立ち止まる。滑り台を何度も滑り、シーソーも遊び倒した。
ブランコは誰が1番漕げるかを勝負したり、二人乗りをした。そんなことを思い出しながら、今はあまり整備されていない草が大量に生えた公園を見つめる。
外で遊ぶ子供がこの町にはいない。子供が減り、高齢者が住む町に変わっていた。
昔は子供が溢れていたような気がする。車が来なければ、坂道で遊び、色んな色のチョークを持ってきて地面に絵を描いたり、スケボーやキックボードに乗っていたり、ドッチボールをしていた。
懐かしさを感じていると遠くの方から、学校のチャイムが聞こえてくる。キーンコーンカーンコーンと。それはまるで、時を告げるように思えた――
9/6/2023, 1:41:13 PM