言い出せなかった「」
会議室のドアが閉まれば、彼のショータイムの始まりだ。
「OK, guys,準備は出来てるか?君たちの報告が楽しみで、昨夜は眠れないほどだったよ。興奮してるんだ。ここは会議室じゃなくて遊園地か?なんてな、はっはっは!さあ始めようぜ。おっと、その前に一つ話をさせてくれ。今の若いやつらはスマホに夢中だろ?いや、批判するつもりはない。俺はそんな器の小さい男か?そうじゃないだろ?ただな、昔はこうじゃなかった。俺の肌が桃みたいにピチピチに瑞々しかった頃は……」
お決まりのイントロから繰り広げられる若き日の栄光。
guysこと我々は、窓の外の景色に目をやった。
「その時俺はなんて言ったと思う?」「相手は黙っちゃってさ!」「俺のファンクラブにでも入りたいのかよってね」
時計の針はなかなか進んでくれない。いつまで続くんだ、このワンマンショー。
途中退場もできやしない。俺は立ち上がって拍手を送りたいほどだった。
「すごいよ、ボス!あなたの話はいつも……」
喉まで出かかった言葉を飲み込む。結局いつも同じだ──言い出せなかった。
「ものすごく、つまらない!!」
9/4/2025, 12:14:18 PM