息を吐くたび、
透明な空気が体の奥を通り抜けていく感覚があった。
だが、足跡がひとつ、またひとつと刻まれるたび、
白い肌は日常の痕跡を受け入れるように崩れてゆく。
靴底に巻き込まれた泥や、溶けた水に混じる土の色が、
純潔を静かに侵していく。
舞い落ちる粒が、肩や髪を濡らし、
その冷たさが、小さな瑞々しさとともに、
確かな痛覚を伝える。
踏み荒らされた表面は、かすかに光を反射し、
光沢を帯びる。
清らかさはすでに日常の色に染まり、
世界の透明さは戻らぬものとして、
熱と湿り気の記憶だけを残した。
題 雪
1/7/2026, 2:17:08 PM