どすこい

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「雨の香り、涙の跡」

「雨の香りがする」彼女はよくそう言っていた。彼女がそう言った後、いつも本当に雨が降っていたから、彼女には本当に雨の匂いというものがわかったのだろう。思えば、彼女と2人で会うとき、いつも雨が降っていた。だからだろう、私にとって雨は特別なものだ。
でも今日は、雨が降ることに気づけなかった。もちろん、理由は隣にあなたがいないからだ。きっと、今日はあなたと会うことができる最後の日。あなたは花に埋もれていて、急な雨にも安らかな顔をしている。
頬をつたう雫も、きっと雨のせい。

6/19/2025, 2:20:55 PM