『すれ違い』
「ごめん、俺……その……実は恋愛対象、女じゃ……ないんだよね」
好きだと告白して、返ってきた答えに思わず口が開いてしまった。
「それって……」
同性愛者?ゲイ?ホモ?
どんな呼び方でも傷付くような言い方だと思って、言葉に詰まった。
無言になってしまい相手は首を傾げたが、戸惑う私に困ったように笑う。
「ごめんね。隠してきたから、驚いたでしょ」
「あ……うん。だって今までそんな素振りなかったから」
「君の気持ちは知ってたから、言えなかった。でももう隠せないと思ったから、こんなタイミングになってしまったけど……本当にごめん」
凄くショックだった。
振り向いてもらえる望みがない答え。私を好きになってくれることはない等しい答え。
叶わぬ恋に胸が苦しくなった。
「女に生まれなければ良かったのに」
「……」
私が独り言のように呟くと、彼の息を呑む気配がした。
でも何も答えなかった。
こんな私の重い気持ちはダルいと思ったのかもしれない。でもそれくらい好き。
私はそのまま無言で立ち去った。
漫画のように、彼が私を呼び止めることもなかった。
創作 2023/10/19
(これは、すれ違い……なのか?笑)
10/19/2023, 2:15:59 PM