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『たった1つの希望』



「そのネクタイよくつけてるよな」

あの人の同期さんが声をかけてきた。

今日のネクタイは、1番のお気に入り。
1番のお気に入りなので、使用する確率はかなり多め。
というのも、あの人からの誕生日プレゼントだから。

「プレゼントです」

「あーそういうこと、、、」

プレゼントと言っただけで、全てを悟ったかのような言い方をしてきた。

「なんですか?」

「アイツからのプレゼントだろ?」

「そうですけど、、、」

「だからだよ。
ネクタイを贈る意味って知らねーの?」

あまり気にしたコトなかった。

「あなたに首ったけ。夢中ってコトだろ」

「はぁ、、、」

マジか、、、
あの人、普段会社とか外ではなんてコトないって顔してるのに、わかってるケド、ちゃんと僕のコト好きなんだ、、、
あーヤベ
顔がニヤける、、、

口元を手で覆い隠す。

「でもなー、アイツ、人たらしだから老若男女誰でもひっかけるからなー。心配だよなー」

同期さんの目が笑っている。

「大丈夫です。僕にはコレがありますから」

僕はネクタイを締め直して、胸を張った。

3/2/2024, 10:04:14 PM