テーマ“刹那”
月がてっぺんに昇る頃
私は、駆けていた。
侍が闊歩する時代にタイムスリップしてしまった私は
たまたま着ていたのが浴衣だったという事もあり
難なく、この時代に馴染みつつあった。
そう、そのせいで、油断していたのだ。
この時代に、偽名を名乗っている隠れながら活動していた人の本名を
思わず呼んでしまった。
数刻前まで、笑顔で話をしていた人が
私に刀を向ける。
あ、ヤバい。
そう思った。
足をもつれさせながらも、彼らから逃げる。
隠れる場所などない。
何故なら、此処は彼らの縄張りだから。
身を隠す術は彼らには敵わない。
「居たぞーー!こっちだー!」
なんて声が聞こえ、前後左右全ての道を塞がれている。
ああ、私もここまでか。
そう思った。
なぜ今日なのか。
なぜ今日はこんなにも月が大きいのか。
スラリとした白刃が私に振り下ろされる。
その刹那、私は走馬燈を見た。
(歴史物のゲームをやった影響で、こんな話になった。)
4/28/2023, 11:09:41 AM