つぶて

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 あなたはいつも私の味方だった。一人で膝を抱えている時、空の広さを教えてくれた。先生に叱られた時、失敗は成長の元だと言ってくれた。誰とも話せないと泣いた時、ゆっくりでいいからと背を押してくれた。あなたがいてくれたから、私は孤独を耐えられた。
 友達ができた。初めての友達。私の手を引いて、遊ぼ、と屈託なく笑う。私は戸惑い、あなたを見る。あなたは安心させるように笑うだけ。私は怖くなる。一緒に来て、と必死にお願いするけれど、あなたはただ首を振る。大丈夫だから。行っておいで。
 私は泣き出しそうになるのを必死で堪えた。あなたが間違っていたことは一度もなかった。
 友達が不思議そうに尋ねる。
「だれと話してるの?」
「だれって……あの子」
 指をさすけれど、友達は首を傾げる。
「え? いないけど」
「あれ……」
 あなたの姿はなかった。私は何度も目を擦ったけれど、やっぱりあなたはいない。
「まあいいや。それより、あっち行こうよ」
  手を引かれる。訳がわからないまま、私は一歩を踏み出す。あなたの姿は見えない。その代わり、確かな温もりが掌に伝わっていた。
 

6/20/2023, 2:47:04 PM