急に冷え込んだ朝。
まだ衣替えが中途半端なクローゼットから慌てて羽織ものを出す。
玄関を出れば、少しひんやりした空気が頬をなでて。
それがまた気持ちを引き締めてくれるようで、背筋が伸びる。
ふと香るはオレンジ色した小花たち。
爽やかさの中でむせかえるような存在感を放ち、私の気持ちを拐っていく。
金木犀にまつわる思い出なんて無いはずなのに、切ない気持ちになるのはなぜなのか。
それでいてずっとその場に佇みたくなる、甘い誘惑。
かき乱された心のまま見上げれば、オレンジ色の向こうに澄んだ青空。そして薄くかかる優しい雲。
今日も一日が始まる。
夕方、金木犀が空に浮かぶといいな
10/18/2022, 3:16:12 PM