人を好きになったのはあの時が初めてではなかった。それでも淡い青春の想い出といえば君が思い浮かぶ。
初めて話したのは休み時間。友達と話している時「お菓子いる?」と、君からだった。その時お菓子をもらったのかそれとも戸惑ってもらわなかったのか、なんのお菓子だったのか忘れてしまったけれど、あの笑顔はずっと忘れられない。
朝に「おはよう」、帰りに「さようなら」。友達と呼ぶにはすこし距離があって、君との間にはいつも何人か友達がいた。
初めて二人で話したのは、友達のバンドがライブに出た時。門限があって打ち上げに参加出来ない私を駅まで送ってくれた。かっこよかったね、なんて話しながら駅までの道が少しでも長くなるように願ってた。
ある日、君と仲の良いひとから、君のことをどう思ってるのか聞かれたことがあったよ。どう答えたら正解だったのかな。正解からきっと一番遠い答えを選んでしまう私の天邪鬼な性格をなにより悔やんだのはこの時だった。
決定的な言葉は私も君も言わなかった。それでも只のクラスメイトとも友達ともちがうくすぐったくなる距離感に、たまに目を合わせて笑った時、伝わる気持ちがあったこと。
卒業前にみんなで遠出しようと話していた時、一緒に行くよねと念をおすように誘ってくれたのに、そのあと都合がつかなくなってしまった時に直接言えなくて、そのまま会う機会がなくなってしまったことがずっと心に残っている。
一緒に行ったイルミネーションはあれから随分壮大で人気スポットになったけど、君はまた誰かと行くのかな。いつかもっと大人になってどこかで会う日まで、相変わらずな笑顔でいて欲しいと思う。
2/26/2024, 10:35:33 AM