「ありがとう!」
そう笑顔を向けてくる。
「友達で本当に良かった!」
おまえがそう言うたび、俺がどんな気持ちになっているか知らないだろう?
困ったら当然手を差し伸べてやる。でもそれは、本当は――。
わかっている。この想いが報われないことくらい。
おまえは俺に向かって友情を感じてくれているけど、それが一方的なものだって俺だけが知っている。
「友達って難しいな」
俺はそう呟いて溜め息を吐く。
その溜め息の理由を、おまえが知ることはきっとこの先もないのだろう。
それでも、これからもおまえの望み通りに友達を続けていく。俺に友情を感じてくれている限り、俺達は友達だから。
『友情』
7/24/2023, 3:32:38 PM