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11/27「愛情」

 やめてほしいな。勘違いしちゃうから。
 その優しさはいつだって優しさにすぎなくて、決して愛情じゃない。嫌になるほど知っている。
 ほんと、そういうとこ。あんたのことなんか大嫌い。

 何で毎回こんなに優しくしてると思ってるんだ。
 ずっとずっと一緒にいるのに、一番近くにいるはずなのに、手も繋がせてくれない。
 お前だけなのに。この、鈍感。


(所要時間:6分)



11/26「微熱」

 何度計っても、37度2分を超えない。体はだるいのに、体温計は免罪符にはなってくれなそうだ。
「会社休みたいなぁ…」
 いっそインフルとか発症しちまえー、と思うも、一人暮らしでアレはそれはそれでつらい。
 布団から出ないとそろそろ遅刻しそうだ。仮病使っちゃおうか。38度あるんですー、とか。いや今って熱あったら証明書とか提出いるんだっけ? いらないよね?
「よし、休も!」
 余りまくった有給を使うなら今だ。微熱は相変わらずだけど、そう決めると体は現金で、スッと布団から起きられた。
 さて、丸一日引きこもってゲームでもするかー。

(所要時間:10分)



11/25「太陽の下で」

 照りつける太陽の下、傘をかぶって畑仕事をしている祖母に、そっと近寄って声を掛ける。
「ばあちゃん、俺…」
「知っとるさ。東京さ行くんだろ」
 腰を伸ばして、祖母は日焼けした顔でにかっと笑った。
「なあに、寂しかぁないさ。お天道様の下にいるのは一緒だ。頑張れや」

 ビル街のふもとで、太陽を仰ぐ。
 この空はいつだって、故郷につながっている。

(所要時間:8分)



11/24「セーター」

 首周りを包むような、…何て言うんだ。タートルネックは違う気がする。こう、首のあたりを折り返して着るタイプのセーターが、好きだ。
 いや、俺が着るんじゃなく。
 彼女が可愛すぎて、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の真逆を行ってる。彼女可愛きゃセーターまで可愛い。
 彼女がそのセーターを着て、その小さな顔が小首を傾げるとか。襟?に細い指が触れたりするとか。もうね、最高。ヘキだ。
 流行とかそういうのには疎いけど、このセーターはなくならないでほしい。そして、冬にはこのセーターを着てずっと隣りにいてほしい。
 …いや、それって彼女を流行遅れにしちゃうかなぁ。うーん、難しい。

(所要時間:8分)

11/28/2023, 12:08:34 AM