いつだったか君は、目で語る人が好きだと言った。
言葉で伝えることも大切だけど、その奥に感情が見える目が好きだとも。
言葉で語るのが苦手な僕は、それを聞いて安心したような怖いような、よくわからない気持ちになった。
伝えなければ、伝わらない。そんな当たり前のことが出来なくていつも悩んでいる僕の気持ちを、君は拾ってくれるのだろうか。
それともそんな当たり前のことすら出来ない僕の目では、結局君に何も伝えられずにいるのだろうか。
自分の目のことなんて、自分と向き合う鏡でしか見たことがないからわからない。
君に伝えたいことはいつだってたくさんある。
空が綺麗だとか、レシートの合計金額がゾロ目だったとか、どうってことない些細なことも。
君の温かさも、真剣な横顔もおどけた笑顔も愛おしいだとか、僕にとって本当に大切なことも。
伝えたくて、たどたどしく話す僕を、君はいつも微笑みながら待っていてくれる。
君の目を見つめると、気恥ずかしくてすぐに逸らしてしまうけど。
僕の目を見つめて微笑んでくれる君こそ、その目で雄弁に語るから。
君に応えたくて、僕は今日も想いを紡ぐ。
4/7/2023, 10:16:09 AM