書く—書いた記録

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「記憶を海に例えるメタファーはディラックを想起させられるがSF好きでもなければそのままの小説かスクールデイズなんかが出てきたりするのでは。なんていうのはどうだろうか?」
「今日はいつものと違う?」

「ところで」
「ところで?あ、戻った」

「何が戻ったかはともかくとして、海と記憶はなんだろう、自分のものであるのに直接触れることができない記憶と、実際に触れられるのは海の一部で全体ではない。そんなイメージがあるね。そこから人とものを飲み込んでしまう。忘れ去られた記憶、しかしふと何かの折に海岸にもどってくる過去の何か、そういったものを想起させる。それゆえ海なのか。なんて思ったり、思われたりしているわけだ」
「ながいよー」

「記憶と海には類似性がある」
「短くてわからん」

「君の記憶の海は広いようだ」
「だから、わからんてば」

「ところで『記憶の海』という作品は短期記憶しかできない記憶障害が扱われたりしていてね」
「あ、なんか聞き覚えがある話」

「『博士の愛した数式』あたりがこのテーマだと著名だったりする」
「よくわからないけど、なんかすぐ忘れちゃうやつでしょ。親近感があるなー」

「そうか。それは良かった」
「良いか悪いかはわからないけど、親近感がある。あれ、なんで親近感があるんだろう」


お題『記憶の海』

5/13/2025, 11:19:02 AM