何億光年も遠く離れたところで瞬いていた光が、晴天の青空の日も、雲が空一面を覆う曇りの日も、嵐の日も、どのようなときであっても、目では見えなくても、確かにそこにある。
このことを思い出させてくれる曲がある。それは、宮沢賢治が作詞・作曲をした『星めぐりの歌』である。
この曲の詩は、終始星座の特徴を詠んでいる。
わたしは、星をみることが楽しみの一つだが、星座はオリオン座と北斗七星くらいしか知らない。
そんなわたしがこの曲を聴いたときはいつも、星座のかたちははっきりとはわからないのに、歌に登場する星座が視界いっぱいに広がっている感覚にとらわれる。そして、空を、宇宙を旅しているような、そんな気持ちになる。
前奏のやさしい旋律から始まり、その旋律に溶け込むように歌が始まる。終始ゆっくりとした雰囲気があり、心が徐々に落ち着いてくる。
そして、自然と涙が溢れてくる。歌詞には心情を表す言葉があるわけではないのに、今の状況に関係なくこの曲が自分を肯定してくれているような、わたしをやさしく包み込んでくれるような、温かい気持ちになる。
子どものころ、無邪気だったころの自分は、自分の気持ちに素直だった。毎日、今日はどんなことをして遊ぼうか考えることに夢中だった。
この曲を聴けばいつだって、子どものころの自分を思い出せる。
そして、不思議なことに、この曲から子どもの頃の自分を思い出したとき、今と比較して今の状況を悲観することはしない。
子どものころの自分を思い出して、その自分も今の自分も、同じ自分なんだと再認識する。溢れてくる涙は、悲しい涙ではなく、愛に満ちた涙だ。
この曲を聴きながら、今日も何億光年も遠く離れたところで輝いていた星たちをみながら、『星めぐりの歌』を心のなかで口ずさんでみる。星は見えなくても確かにそこにある。
これからも、どうかこの温かい気持ちを忘れずに生きていけますように。
星に願う。
_____星に願って________________________________。
2/11/2025, 12:21:17 AM